mute village

扉を開けた本人はもう逃げ去ったものの、更衣室内は未だにパニック状態だった。
身体を隠して扉と反対の方を向いていたため、いなくなったことに気が付かないでいた。
そんなところに、どこから現れたのか、三つ又の鉾のようなものを持った怪しげな人影が出現した。
人型ではあるがデフォルメ色が強い、現実離れした体型である。どちらかと言えば人形に近い。

その人影は手に持った三つ又の鉾から怪しげな光線を彼女たちに次々に中てていった。
彼女たちは一瞬で物言わぬ石像に変えられていった。真ん中に立っていた娘を除いては。



その娘は周りが一瞬で静かになったことに違和感を感じ、固く閉じていた眼を開け、周りを見渡そうとした。
が、なぜか首が動かない。そして首どころか身体も動かなくなっていることに気付いた。
両腕で胸を隠し、片手にこれから着けようとしていたブラを握りしめたままの恰好である。
「なんで？」と思い身体をよく見ると、自分の肌に灰色が侵食してきている。
ぎょっとして、改めて他の娘たちを見てみると、全身灰色の石像に置き換わっていた。
自分と同じように半裸の状態で身体を隠すような格好で、しかし微塵も動かない。





（え？え！？なにこれ、どういうこと？？）
声を発しようとしたがそれもままならないことに気付く。その間にも灰色の浸食は続く。
（これ・・・良くわからないけどわたしも皆と同じようになっちゃうわけ？）
背後の扉ではあの人影が嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。
（やっ、やだあ！なんなの！助けて、こんなカッコでこんなの、やだああぁぁ！！）



願いも虚しく、やがて全身が完全に無機質な石に置き換わる。
怪しい人影はそれを確認し、満足げに笑うとそのまま立ち去って行った。




「そしてその後、私がそれを見つけたの。結構稀な光景なので部屋ごと頂いてきちゃったわ」
「そうそう、どういう状況でこうなったのかも、部屋の記憶を辿ればある程度分かるのよ、覚えておいてね」

あなたは「さらっと言ってのけたが、エルコはすごいこと言ってるような気がする」と思ったが、
やはり深く追及するのも野暮だと思いそのまま聞き流すことにした。

「この石像の見所はやっぱり胸の隠し具合、見えそうで見えない辺りが絶妙よね」
「突き出たお尻もキュートよねえ、一日眺めてても飽きないわ、それから・・・・・・」
ニコニコだかニヤニヤだか良くわからない笑みを浮かべながらエルコの解説はまだ続く。
しかしながら、延々とエルコの話を聞きながら石像を鑑賞するのもまたまんざらでもないのであった。

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先日某所にて「着替え中とかそういうのがいい」とあったので軽く描こうと描いた一枚。
・・・と、そこまでは良かったのですが、ついでだから差分も描いておこうと思ったら
異常に時間かかってしまいました。
石化過程とか表情とかだけのはずなのに。
たぶんやり方悪いんだ、もっと効率良いやり方があるはず。

↓こちらが某所においてきたものでした。

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